アロマ講座の先生が毎朝頭の上に一滴たらしているというのを聞いて…すごく興味がわきました。ネーミングからして、神秘的なオイルですよね。
印象に残ったことは👇
クレオパトラをはじめ、王族たちの間で、若返りの香油として用いられたそうです。
植物としての特徴
アラビア半島南岸など限られた地域にしかない樹で、現在「乳香の土地」と呼ばれるオマーンの遺跡や乳香の樹の群生地など、交易地として栄えた場所が世界遺産に登録されています。傷つけた樹木から出るミルクのような樹液が固まったものであるため「乳香」と呼ばれます。劣悪な環境で育つ植物は生きていくために必要な化学成分を所有することとなりますが、非常に暑く乾燥した地域に生息するフランキンセンスは、乾燥に打ち勝つために人間の乾燥肌や呼吸器によい成分を含み、心の渇きにも効果があります。特に厳しい環境のソマリア産が最高品質とされます。樹液は固まると黄色い透明感のある黄金のような美しい樹脂となります。実際に、古来は黄金より価値があるものとして扱われたといわれています。

精油の特色
爽やかで温かく、豊かで甘いバルサム調の洗練された透明感のある香り
精油の安全性
極めて安全性の高い精油
主な成分(効能)
- α-ピネン…45%
- 鬱滞除去作用、空気清浄作用、抗炎症作用、抗感染作用、消炎鎮痛作用、免疫向上作用、抗菌作用、抗肥満作用
- リモネン…17.58%
- 消化促進作用、鬱滞除去作用、抗感染作用、血流促進作用、殺菌作用、抗ウイルス作用、免疫刺激作用、肝臓強壮作用、腎機能強化作用
- α‐ツエン…5%
- 空気浄化作用、殺菌作用
- β‐カリオフィレン…1.94%
- その他
フランキンセンスの特徴は、モノテルペン炭化水素の多さです。一説では、モノテルペン類は外敵から身を守るために植物が出しているともいわれています。空気浄化作用があり、空間にくゆらせるとたちまち神聖な空間になるのも、これらの成分の影響が大きく、呼吸も楽になります。空気が乾燥した土地で育ったからこそ、空気をきれいにクリーンに保つ成分を蓄えている、まさに地球が与えた成分をもっている植物です。フランキンセンスも成分構成によって香りがだいぶ変わりますが、リモネンが多く含まれると、受け入れやすい香りになります。
精神的アプローチ
特定の自覚した理由がなく、蓄積された潜在意識の中のトラウマやネガディブな気持ちが、時折、悪さをして自分では理由がわからない不安やパニックに陥るとき、非日常のフランキンセンスの香りは呼吸を落ち着かせ、心を慰めてくれます。古代から瞑想に使われてきたこともあり、直観力を高め、深いリラクゼーションをもたらします。また、樹液が固まった姿が涙に似ていることもユニークで、その香りは悲しみを癒す力もあるといわれます。
身体的アプローチ
抗菌作用によって呼吸器の浄化に役立ちます。かぜ、喘息、気管支炎などあらゆる呼吸器トラブルに役立ちます。呼吸器のトラブルが精神的な緊張や、ストレスが要因の場合はなおさらよいです。緊張や不安で止まらない咳は、ユーカリよりもフランキンセンスです。目を閉じてゆっくりと深呼吸して吸い込むと良いでしょう。泌尿器の消毒・殺菌・膀胱炎・性器の感染症にも有益です。マンダリンやネロリなどとブレンドして妊娠線予防にも使われます。
肌へのアプローチ
フェイシャルには大変人気です。クレオパトラも美肌キープのために用いたという噂のフランキンセンスのお手入れは、しわ・たるみ・老化肌に効果的です。フェイシャル時、オイル塗布の前に、十分に深呼吸しながら鼻から吸い込んでいただくことで、身体的とのダブル効果が期待できます。
利用の仕方
- 主な使用法…芳香浴、沐浴、ボディートリートメント、スキンケア
- 単体での活用例…勉強や会議に集中したいときに、香りをゆっくりと吸い込む
- ブレンドアドバイス…柑橘系のさわやかさと苦さ辛さ、そしてわずかに甘みをもち合わせているので、柑橘系、香辛料系、花系と好相性。ブレンドを楽しみやすい精油。
- ブレンド例…
- フランキンセンス1滴+パチュリ1滴 → 深い瞑想を感じる香り
- フランキンセンス1滴+ライム1滴→キリっとしたさわやかさ。過去を断ち切る香り
フランキンセンスにピッタリな人は…
過酷な環境で静かに癒しの香りを放つ聖女
与えられた環境を受け入れ、傷ついた経験も自分の中で宝石のように昇華させるような強さとたおやかさを持ち、着飾ることがなくても美しい女性。彼女を前にすると、日常のちょっとした不満や愚痴など口にすることができなくなり、自分の悩みはちっぽけなことと思えるようになります。
自分の内面と向き合い、自分自身を見つめ直したいとき、フランキンセンスの香りが内なる世界へと案内してくれます。

その他
紀元前より、商人たちが過酷な砂漠を横断する際に、フランキンセンス(乳香)を噛み、健康を維持していたといわれています。当時はとても貴重で、金の値段と同等か、それ以上だったそうです。クレオパトラをはじめ、王族たちの間で、若返りの香油として用いられていました。キリスト生誕の際、その厩(うまや)で東方の三賢人が黄金や没薬(もつやく)とともに香乳をささげたと記されています。
引用文献:あたらしいアロマテラピー事典(著 木田順子)・香りの「精油事典」(著 太田奈月)エッセンシャルオイル家庭医学事典(Roger M.Rutz/Etsuko Kobira Rutz
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